不妊治療が保険適用に!メリット3点とかかる費用について

2022年4月より不妊治療も新たに保険適用対象となりました。

自費診療に比べると、不妊治療を行いやすくなったと思います。 

とはいえ、誰でも保険適用になるわけではなく、条件があります。

この記事では下記のことを解説します。

目次

保険適用となる治療法は?

2022年3月までは、健康保険などの医療保険が適用できる不妊治療はあまりなく、自費で支払うことがほとんどでした。

保険適用外だった体外受精では1回当たり40万円以上と経済的な負担が大きかったと思います。

条件はありますが、保険が適用になると治療費が原則3割の負担で治療が受けられます

以下が今回の改正で対象となった治療です。

一般不妊治療

タイミング法

自然妊娠を目的とした治療法です

基礎体温や採血でホルモン値の確認をしたり、超音波検査で卵胞の大きさを確認したり、患者さまがいつ排卵するかを診察します。

性交渉するタイミングを適切にアドバイスする治療です。

人工授精

タイミング法で、妊娠しない場合、ステップアップとして行われる治療法です。

排卵日付近に、カテーテル(細い管)で子宮内に精液を注入します。

タイミング法と比べると、奥まで精子が届くので、フーナーテストの結果がよくない場合や、性機能障害の方に適応です

管理料/人工授精

保険点数自己負担額(3割)
一般不妊治療管理料250点750円
人工授精1,820点5,460円
タイミング法・人工授精

生殖補助医療

体外受精

排卵間際の卵子を、体の外に取り出します。

パートナーの精子と受精させて、受精卵を子宮に移植して着床させる方法です。

・人工授精で妊娠が成立しなかった

・子宮外妊娠したことがある

・卵管の通り道が狭い、またはふさがっている

・男性不妊

その他、原因がわからない方が適応です。

顕微授精

元気な精子を選び、卵子の中に直接入れて受精させます

一般的に体外受精は、卵子に精子を振りかけますが、顕微授精は精子の状態がよくない場合に適用されます。

元気な精子が1匹いれば顕微授精ができます。

あや

卵子に精子を入れても、全てが受精卵になるとは限りません。

管理料/AMH

保険点数自己負担額(3割)
生殖補助医療管理料2250点750円
抗ミューラー管ホルモン(AMH)600点1,800円

採卵料

保険点数自己負担額(3割)
採卵術3,200点9,600円(0個の場合も)
採卵数加算1個2,400点7,200円
2~5個3,600点10,800円
6~9個5,500点16,500円
10個~7,200点21,600円

体外受精顕微授精管理料

保険点数自己負担額(3割)
体外受精4,200点12,600円
顕微授精1個4,800点14,400円
2~5個6,800点20,400円
6~9個10,000点30,000円
10個~12,800点38,400円
TESE精子を使用よる場合(採取精子調整加算)5,000点15,000円

受精卵・胚培養管理料

保険点数自己負担金(3割)
受精・胚培養管理1個4,500点13,500円
2~5個6,000点18,000円
6~9個8,400点25,200円
10個~10,500点31,500円
胚盤胞管理加算1個1,500点4,500円
2~5個2,000点6,000円
6~9個2,500点7,500円
10個~3,000点9,000円
タイムラプス先進医療30,000円

胚移植術

保険点数自己負担額(3割)
新鮮胚移植7,500点22,500円
凍結・融解胚移植12,000点36,000円
アシステッドハッチング加算(実施した場合)1,000点3,000円
高濃度ヒアルロン酸含有培養液(実施した場合)1,000点3,000円

胚凍結保存管理料

保険点数自己負担金(3割)
胚凍結保存管理料(凍結時)1個5,000点¥15,000
2~5個7,000点¥21,000
6~9個10,200点¥30,600
10個~13,000点¥39,000
胚凍結保存維持管理料(2年目以降年1回)3,500点¥10,500

不妊治療の保険適用の条件3点

下記の3点は、厚生労働省から、確認できなければ、保険適用にはなりません。

①戸籍の確認

入籍している場合、婚姻関係を確認します。

事実婚の場合、治療をして妊娠・出産した子を認知する意思があるかを確認します。

病院やクリニックの方針で、入籍していない(事実婚は認めない)と治療をしない場合があります。

受診する前に、確認してください。

②治療を始める周期は、パートナーの同席が必要

来院が難しい場合は、オンラインでも可能です。

パートナーの同意がなければ、保険適用にはなりません

③回数制限と年齢制限

男性の年齢制限はありませんが、女性は治療期間の初日に43歳未満が対象です。

経済的な理由で不妊治療を諦めていた人も治療をしやすくなったと思いますが、すべての人に、保険適用されるわけではなくいくつか条件があります。

初めて治療を開始するときの女性の年齢回数制限
39歳以下子ども1人に対して通算6回まで
40歳以上43歳未満子ども1人に対して通算3回まで

・回数は、移植が終わったら1回にカウントされます。

・保険適用で採卵した場合、移植しなければ、採卵はできません。

・生殖補助医療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、または極めて少ないと医師に診断された方が対象となります。

・タイミング法・人工授精に年齢制限はありません。

・治療期間の初日は、初診日ではありません。治療計画を立てた日です。

不妊治療の保険適用にならない治療

・将来に向けて、胚をためる

・第三者の精子・卵子等 を用いた生殖補助医療

・第三者の精子提供による 人工授精(AID)

・第三者の卵子・胚提供

・代理母

保険適用のメリット3点

治療費が統一される

不妊治療は、主に自費診療で行っており、病院やクリニックで、治療費が異なっていました。

保険適用になったので、治療費が統一され、患者さまにとって病院やクリニックを選びやすくなったのではないでしょうか。

治療費の負担が3割となり、経済的負担が少なくなる 

2022年3月まで、不妊治療は自由診療で行われていました

そのため、治療費は全額自己負担で、高額な治療費がかかる点で体外受精・顕微授精を行うことを迷っていたり、諦めたりする人もいると思います。

金銭的に負担が少なくなり、治療を受けやすくなったと言えるでしょう。

 高額療養費制度の対象になる

病院やクリニック、薬局の窓口で支払う医療費が1ヵ月(1日から月末まで)の上限額をこえたときに、そのこえた金額が払い戻される制度です

上限額は、年齢や所得により変わります。

注意点

高額療養費制度が利用できるのは保険適用の治療に限られます。

2022年4月に保険適用となりましたが、全ての治療が対象となっているわけではありません。

自由診療のみの治療や、保険診療と併用できる先進医療は高額療養費制度の対象にはなりません。

 保険適用のデメリット 

治療法の選択肢が限られてくる

不妊治療の全ての治療が、保険適用ではありません。

また、保険診療と保険外診察は、混合治療になります。

保険適用になる場合は、自費診療での薬が使用できないので、患者さまの状態に合わせた治療が行えません。

不妊治療を行いやすくなった反面、限られた治療しかできないと言えます。

保険適用だといくらかかる?

あくまでも、目安になりますが、費用はどれくらいかシミレーションしていきましょう。

タイミング法

3,000円〜1万前後

初めて不妊治療する場合、卵管造影検査(卵管の通り道を確認する検査)や感染症(HIV・B型肝炎・C型肝炎・梅毒・クラミジアなど)、フーナーテストを調べると、1万円以上かかる場合があります。

※使用する薬剤の量や種類、血液検査などの費用により異なります。

人工授精

人工授精:5460円

6,000円〜13,000円前後

※使用する薬剤の量や種類、血液検査などの費用により異なります。

体外受精

ケース1:採卵で3個とれた。新鮮胚移植をする、余剰胚2個を凍結する場合。

ケース2:採卵で10個とれた。顕微受精で融解胚移植をする。余剰胚8個を凍結する場合。

生殖補助医療管理費(月1回)900円
採卵費用9,600円
卵子10個以上21,600円
顕微授精10個以上38,400円
IMSI(先進医療)12,000円
受精卵培養費(6〜9個)25,200円
胚盤胞培養費(6〜9個)7,500円
タイムラプス(先進医療)30,000円
融解胚移植36,000円
アシステッドハッチング(希望あれば)3,000円
高濃度ヒアルロン酸含有培養液3,000円
胚凍結保存管理費:(6〜9個)30,600円
胚凍結保存維持管理費(2年目以降は年1回)10,500円
計:228,300円
※採卵〜移植までの診療費(再診料・検査費・薬剤費等)は別途、請求があります。
先進医療

IMSIとは、光学顕微鏡の高倍率(1000倍:デジタルズーム6000倍)を用いて観察し良好な精子を選びます。形の良い精子を選んで顕微授精する方法です。

タイムラプスとは、受精卵・胚を培養機内の定点カメラで観察する培養法です。

先進医療のため、実施している、病院やクリニックをご確認ください。

https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html ※2024年3月1日現在

まとめ

保険適用になり、不妊治療への関心や期待が高まっていると思います。

経済的な理由で、不妊治療をするか迷っていた方も、治療がしやすくなったのではないでしょうか。

不妊治療するかを悩んでいるなら、まず病院やクリニックで相談してください。

参考資料

厚生労働省,不妊治療の保険適用についてhttps://www.mhlw.go.jp/content/000901932.pdf(2024年4月16日取得)

厚生労働省.保険診療と保険外診療の併用について,https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/heiyou.html?msclkid=7c3473d5b00b11ecbfbe8c03faea910c(2024年4月16日取得)

この記事を書いた人

副業WEBライターの吉田絢香と申します。

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